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BenriWorks Lab

科学・教育

教科書の図では伝わりにくい科学の概念を、ブラウザで動かして体験できる形にする分野です。地球内部のスケールと動きをどう見せるか、正確さと分かりやすさが衝突する場面でどこを簡略化しどう注記するかを記録します。

科学・教育は、教科書の図では伝わりにくい科学の概念を、ブラウザ上で動かして体験できる形にする取り組みを扱う分野です。BenriWorksでは、地球の内部構造を体験しながら学べる「地球地下シミュレータ」を開発しており、科学データに基づく可視化と、理解を助けるための誇張や簡略化との折り合いを検証しています。

教科書の断面図が伝えないもの

地球の内部構造は、たいていの教科書で同心円の断面図として描かれます。この図は正確ですが、2つのことを伝えません。ひとつはスケール感——地殻の厚さ約35kmが半径6371kmに対してどれほど薄いか。もうひとつは動き——マントルが対流し、地震波が屈折しながら伝わるという時間変化です。

地球地下シミュレータは、この2つを補うために作りました。断面カットで層構造を自由な角度から観察でき、マントル対流をリアルタイム計算で動かし、地震波の伝播も体験できます。PREM(予備的基準地球モデル)近似の科学データに基づく教育用シミュレータという位置づけです。

「正確さ」と「伝わること」はときに衝突する

教育向け可視化の設計で避けて通れないのが、正確さと分かりやすさの衝突です。

実寸で描くと、地殻は画面上で1ピクセルに満たない薄さになり、「地球の表面にはプレートという層がある」という一番伝えたいことが見えません。そこでシミュレータでは地殻の厚さを見かけ上誇張し、誇張していることをアプリ内に明記するという方針をとりました。地震波・プローブの位置は実スケールのまま、見た目の厚さだけを操作しています。

マントル対流も同様です。実際の対流は数億年スケールの現象で、そのまま見せたら何も動きません。簡略化した2次元ブシネスク近似の対流をリアルタイムで計算し、プルームの発生・移動を目で追える速度に調整しています。物理としては簡略モデルであることを明示したうえで、「温かい塊が浮き上がる」という現象の骨格が伝わることを優先しました。

この「どこを正確に保ち、どこを分かりやすさのために曲げ、それをどう注記するか」という判断の記録こそが、この分野の中心テーマです。

計算をブラウザで回すための工夫

科学計算をWebアプリに載せると、計算がUIをブロックする問題に必ず突き当たります。マントル対流の計算はWeb Workerに切り出して描画スレッドと分離し、端末性能に応じて「物理シミュレーション」と軽量な「粒子表現」を切り替えられるようにしました。地震波が地球中心部でどう屈折し、シャドーゾーン(波が届かない領域)がなぜできるかは、レイトレーシングによる伝播計算で描いています。これらの実装は開発記事として個別に公開しています。

この分野で発信すること

教育向けの可視化やシミュレーションに関心がある方、科学計算をWebアプリに組み込みたい開発者に向けて、実装の設計と検証の記録を発信します。正確さをどこまで守り、分かりやすさのためにどこを簡略化したかを、注記の形で明示することを方針としています。

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