開発記事公開日
GPT-6 Astra の Codex に、16サイトの疎通確認を任せた記録

GA4の管理画面の設定と、16サイトで計測が届いているかの確認をCodexに任せました。OpenAIが公開しているGPT-6 Astraの仕様と、戻ってきた報告書のどこに価値があったかを記録します
計測タグを入れ終えた後に残る仕事があります。管理画面の設定を整え、16のサイトを実際に開いて、データが届いているかを見る仕事です。コードを書くAIには向いていません。ブラウザを操作し、画面を読み、結果を書き残す必要があるからです。
BenriWorksはこの仕事を、Codex に任せました。モデルは公開されたばかりの GPT-6 Astra です。戻ってきた報告書は、私たちが期待していた「全部届きました」ではありませんでした。3サイトで届いておらず、1サイトで数が合わない。そして、届かない理由の1つは、私たちが渡した仕様書の側にありました。
OpenAI が公開している Astra の仕様
GPT-6 Astra は2026年9月3日に公開されました。OpenAIの発表は、コンピュータ操作、ブラウジング、ソフトウェア工学、サイバーセキュリティ、科学、専門的な業務で最高水準だとしています。APIのモデルページによれば、コンテキストウィンドウは105万トークン、最大出力は12万8千トークン、料金は入力100万トークンあたり10ドル、出力は50ドルです。キャッシュ済み入力は100万トークンあたり1ドル、27万2千トークンを超える入力には入力2倍と出力1.5倍の長文脈料金が掛かると書かれています。
発表で引かれている数字のうち、私たちの仕事に関係するのは2つです。ひとつはエージェント型の科学研究を測る Terminal-Bench Science 0.1 で、Astra が64.6パーセント、比較対象の Claude Fable 5.1 が52.6パーセントとされています。もうひとつは Mind2Web で、Codex の実行基盤の更新と合わせて、前のモデルである GPT-5.6 Sol より1.9倍速く課題を終えたという記述です。後者はブラウザ操作の速さを測る指標なので、今回の仕事に直接あたります。
Codex 側の更新として、コンテキストウィンドウをまたいでメモを保持する機能が挙げられています。長い作業では、これまで古いやりとりを要約して圧縮していました。要約のたびに「なぜその修正が失敗したか」が落ちる。それを、メモとして持ち越す形に変えるという説明で、公開時点では実験的機能とされています。
安全面では、OpenAI は Astra を、同社の Preparedness Framework でサイバー能力が Critical に達した最初のモデルとしています。サイバー関連の脱獄評価で拒否率が91.5パーセント、前モデルの59パーセントから上がったこと、外部提供のすべてのツール使用に対して不整合の監視を入れたことが「Path to Astra」に書かれています。ブラウザで管理画面を操作させるという今回の使い方には、この監視が前提として付いています。
渡した仕事
仕様書には、手順4から6を Codex の担当と書いていました。4は16サイトの疎通確認、5はGA4のプロパティ設定、6はホスト名別のレポート作成です。
設定の側は、報告書の表に収まる量でした。イベントデータの保持期間を2か月から14か月へ変更し、別タブで開き直して14か月になっていることを確認。Search Console との連携は、GA4の画面に「このリンクによってプロパティにアクセスできる全員が検索データを参照できる」と出たため、閲覧範囲が広がることを運営者に提示し、承認を受けてから送信しています。ホスト名を行に置いた探索レポートは、25行の表示で15ホスト名が1表に収まる形で保存されていました。
疎通確認の側は、こう書かれていました。16サイトを順に開き、各ページで3秒以上とどまり、リアルタイムの「ページタイトルとスクリーン名」に現れるかを見る。開始時に0だったアクティブユーザーが1になり、13種類のタイトルが現れた。そして次の一文があります。
「HTTP 200やHTML内のID存在は、受信成功の代わりにはしていない。」
報告書のどこに価値があったか
未受信の3サイトについて、報告書は原因まで書いていました。
修正月齢アプリでは、本番ページのDOMに挿入されたスクリプトの中身を引用し、正規表現の逆スラッシュが落ちて // がコメント開始になっていること、コンソールに出ていた構文エラーの文言、挿入元のファイル名まで添えてあります。コードを書いた側が見ていなかった「ブラウザに届いた後のコード」を、こちらは見ていました。
遠隔巡視のシミュレータとAI画像のアプリでは、公開URLのHTTPレスポンスから Content-Security-Policy ヘッダーをそのまま転記し、計測タグの配信元と送信先が許可されていないと指摘しています。Report-Only ではなく実際に適用されるヘッダーだった、という確認も付いていました。仕様書には「CSPはどのリポジトリにも設定なし」と書いてあったので、報告書は続けてこう書いています。「仕様書の前提は、今回確認した2サイトの本番HTTPレスポンスと一致しない。」
渡した仕様書を信じずに、本番のレスポンスを見た。この一点が、今回の仕事で最も価値のあった部分です。仕様書を書いたのはもう一方のAIで、ソースコードの中を検索して「なし」と結論していました。それを、HTTPヘッダーという別の証拠で覆した形です。
家族プランナーの二重計上については、逆に断定を避けています。ページが端末内の状態をもとにURLを自動更新したことは観察した、しかしそれが原因だと断定する通信の証拠は採っていない、切り分けはコード側で行う必要がある、と書かれていました。加えて、そのURLには入力データが含まれるため報告書には転記しない、とも。原因はのちにコード側で確認され、報告書の観察どおりでした。
任せられなかったこと
報告書には、この作業ではCSPもコードもプルリクエストもデプロイも変更していない、と書かれています。これは仕様書でそう決めていたからで、コードの修正は別のAIがプルリクエストで行い、人がマージします。ブラウザ側のAIが本番のコードを直せる状態にはしていません。
Search Console の連携のように、アカウントの閲覧範囲が変わる操作は、途中で止まって承認を求めました。管理画面のボタンを押せるかどうかと、押してよいかどうかは別で、後者は人が答える形です。
探索レポートの数字は、過去28日間の集計です。報告書はこれについても、この作業で発生させたテストアクセスは当日分なので含まれていない、古い *.vercel.app のホスト名が残っているが現在も送信されているとは判断していない、と範囲を限って書いていました。

報告書を受け取ったあと
3件の修正と1件の切り分けは、報告書を渡した先のAIが1セッションで終えました。その経緯は「Claude Fable 5.1 で13リポジトリにGA4を入れた記録」にあります。
私たちがこの報告書から持ち帰ったのは、疎通確認の手順そのものより、「何を証拠にしたか」を各行に添える書き方でした。届いたか届かないかの判定より、その判定の根拠がどの段にあるかのほうが、次の人の手戻りを減らします。この書き方は、そのまま次の仕様書に取り込みました。取り込み方は「Claude Code と Codex の分業を、1枚の仕様書で回す」に書いています。
参照した公式情報
- OpenAI「GPT-6 Astra: A new generation of intelligence」(openai.com、2026年9月3日)
- OpenAI「Path to Astra: critical capabilities and frontier safeguards」(openai.com)
- OpenAI API「GPT-6 Astra」モデルページと「Pricing」(developers.openai.com、2026年9月時点)





