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BenriWorks Lab

ガイド公開日

テレビアンテナの向きを方位で合わせる方法

住宅の屋根で、安全帯を着けた技術者が八木式アンテナの向きを調整している

地デジアンテナを中継局に向けるための手順を、中継局の調べ方から方位合わせ、受信確認まで順に解説します

引っ越しの後にテレビが映らない、天気は悪くないのに特定のチャンネルだけ乱れる。そんなときにまず確かめたいのが、アンテナの向きです。地デジのアンテナの多くには向きがあり、電波を送っている中継局のほうを向いていないと、本来の受信性能が出ません。この記事では、自宅から見て中継局がどの方角にあるかを調べ、方位を合わせ、受信を確認するまでの手順を解説します。

アンテナを向ける先

屋根の上でよく見かける、魚の骨のような形のアンテナは八木式アンテナと呼ばれます。このタイプのアンテナは、特定の方向から来る電波を強く受け取る性質(指向性)を持っていて、向きが合っているほど電波を効率よく拾い、ずれるほど受信は弱くなります。台風のあとに急にテレビが乱れるようになった、という話をよく耳にしますが、強風でアンテナの向きが変わっただけでも受信は悪化しうるわけです。

八木式アンテナを真上から見た指向性の模式図。アンテナの正面から中継局へ向かって大きな水滴形の受信範囲が伸び、後方には小さな範囲しかない。中継局への向きから角度がずれた方向には点線の矢印が引かれ、ずれるほど受信が弱くなることを示している。下部に、素子数が多いアンテナほど指向性は鋭く向きのずれに敏感になるという注記
正面から来る電波は強く拾い、後ろや横からの電波は弱い。だから向きが効いてくる

では、どこへ向ければよいのでしょうか。地デジの電波は、東京スカイツリーのような大きな送信所と、その電波が届きにくい地域を補う各地の中継局から送られています。向ける先は「自宅から受信しやすい中継局(送信所を含めて、以下まとめて中継局と書きます)」で、多くの場合はそれが最寄りの局です。ただし、受信のしやすさは距離だけでは決まらず、局の送信出力や、間に山があるかどうかにも左右されます。

向きを合わせる手順

手順は次の4つです。

  1. 受信する中継局を決める:自宅の周辺にどの中継局があるかを調べます。
  2. 中継局への方位を調べる:自宅と中継局の位置が分かれば、向けるべき方角は方位(真北を0度として時計回りに測った角度)として計算できます。
  3. アンテナをその方位に向ける:スマホのコンパスなどで方角を確かめながら、アンテナの向きを合わせます。
  4. テレビの受信レベルで確認する:テレビの設定画面にあるアンテナレベル(受信レベル)の表示を見ながら、数値がもっとも高くなる向きに微調整します。

中継局と方位の調べ方

手順の前半、中継局選びと方位調べは、屋根に上がる前に済ませられます。現在地と中継局の緯度経度が分かれば方位は計算で求められるので、その計算を代わりにやってくれる道具を使うのが早道です。

BenriWorksで開発している「地デジエリアマップ」では、現在地(または地図上で長押しして指定した地点)から周辺の中継局への方位と距離、受信のしやすさの目安を、地図とリストで確認できます。局を選ぶと、その局への方位をコンパス画面に引き継げるので、スマホを持って方角合わせに移れます。選んだ局との間に山があって電波が遮られそうか(いわゆる山かげ)を、地形データで確かめる機能もあります。

地デジエリアマップのリスト表示。東京都心(緯度35.6812・経度139.7671)を指定した状態で、東京スカイツリー(東京親局)5.1km/方位51°/推定レベル100dBµV「良好」を先頭に、三ツ池公園20.4km/方位210°/81dBµV、平野原22.6km/方位320°/75dBµV、船橋三山27.7km/方位87°/72dBµVなど、周辺の中継局が推定レベルの高い順に並んでいる
地点を決めると、周辺の中継局への方位・距離・受信の目安が一覧で出る(東京都心を指定した例)

道具に頼らない手がかりもあります。近所の家のアンテナがどちらを向いているかを見てみてください。同じ地域の家々のアンテナは、たいてい同じ中継局を向いています。調べた方位と近所のアンテナの向きが大きく食い違うときは、選んだ中継局が適切かどうかを一度見直してみてください。

スマホのコンパスを使うときの注意

方位が分かったら、その方角へアンテナを向ける番です。スマホのコンパスは手軽ですが、ひとつ落とし穴があります。コンパスの針が指す北(磁北)は、地図の北(真北)と一致していません。このずれは磁気偏角と呼ばれ、日本では場所にもよりますが、磁北が真北からおおむね西へ5〜10度ずれています。中継局への方位はふつう真北を基準に計算されるため、コンパスの読み値をそのまま信じると、その分だけ向きがずれてしまいます。

磁北と真北のずれを示した図。円形のコンパスの中で、真上を指す矢印が真北(地図の北)、そこから西へ傾いた矢印が磁北(コンパスの針)で、あいだの角度が磁気偏角として塗り分けられている(図では見やすさのため角度を誇張)。右側に、中継局への方位は真北が基準であること、磁北の読み値のままでは偏角のぶんずれること、地デジエリアマップは偏角を補正した真北基準の方位を表示することが並んでいる
コンパスの針が指すのは磁北。真北を基準に計算された方位とは、その分だけ食い違う

アンテナの指向性は素子数(アンテナの骨の本数)が多いものほど鋭く、向きのずれに敏感になります。数度のずれとあなどらず、真北基準に直した方位で合わせるのが安全です。地デジエリアマップは現在地の磁気偏角を補正した方位を表示するので、この換算を自分で行う必要はありません。ほかのコンパスアプリや地図アプリを使う場合は、真北基準の表示に切り替えられるか、設定を確認してください。

地デジエリアマップで東京スカイツリー(東京親局)を選んだときの局詳細。東京都/親局/水平偏波、距離5.1km、アンテナを向ける方位51°(真北基準)と表示され、物理チャンネルとERPは総務省無線局免許情報と照合済みである旨が添えられている
局を選ぶと、向けるべき方位が真北基準で出る。偏角の換算を自分でする必要はない

テレビの受信レベルでの最終確認

方位が合っていることと、実際に映ることは別の話です。建物による遮蔽、ケーブルや分配器の状態、ブースター(電波を増幅する機器)の有無、アンテナの素子数といった要素も受信状況を左右するためです。計算どおりの方位はあくまで出発点で、最後の判断材料はテレビ側の表示です。

なお、引っ越しで地域が変わった場合は、向きの調整の前にテレビのチャンネル設定をやり直して(再スキャンして)おきます。地デジは地域ごとに使うチャンネルが異なるため、前の住まいの設定のままでは、電波が届いていても映らないことがあるためです。

そのうえで、確認は次のように進めます。

  1. テレビの設定メニューからアンテナレベル(受信レベル)の画面を開きます。表示の名称や目安となる数値はメーカーごとに異なるため、取扱説明書で確認してください。
  2. 計算した方位を中心に、アンテナの向きを少しずつ左右に振ります。
  3. レベルがもっとも高く、かつ安定する向きでアンテナを固定します。

向きをいくら調整してもレベルが上がらない場合は、別の中継局を試す、ケーブルや機器の状態を見直す、アンテナ工事の業者に調査を依頼する、といった選択肢があります。原因が向き以外にある可能性も考えながら、一つずつ切り分けてみてください。

アンテナの向きと受信レベルの関係を表した山型のグラフ。横軸は計算した方位を中心に左右へ振った向き、縦軸はテレビのアンテナレベル。素子数の多いアンテナは山が鋭く、素子数の少ないアンテナはなだらかで、どちらも計算した方位の付近でレベルが最大になる。頂点に「ここで固定する」と印が付き、下部に表示の名称や目安の数値はメーカーごとに異なるという注記がある
計算した方位は出発点。左右に振って、いちばん高く安定するところで固定する
案内役のイラスト。作業ジャケット姿の男性エンジニアが八木式アンテナを指さしている。左に「アンテナの向き、どう合わせる? 送信所の方向と受信レベルの考え方」というキャッチコピーが入っている
向きは「送信所の方位」と「受信レベル」の両方で確かめます

まとめ

  • 地デジの指向性アンテナは、電波を送っている中継局の方向へ向けます
  • 中継局への方位は、自宅と中継局の位置から計算できます。「地デジエリアマップ」で方位と距離、受信の目安を確認できます
  • スマホのコンパスで合わせるときは、磁北と真北のずれ(磁気偏角)に注意します
  • 受信できるかどうかの最終確認は、テレビの受信レベル表示で行います
  • 屋根の上などの高所作業は危険です。無理をせず、専門業者への依頼も検討してください

なお、スマホのコンパスからWebアプリが方位を取得する仕組みについては、開発記事「スマホのコンパス方位をWebで取得する」で紹介しています。アンテナの向きが怪しいと感じたら、まずは自宅から中継局がどの方角にあるのかを確かめるところから始めてみてください。

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