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ガイド公開日

遠隔巡視のカメラ台数に根拠をつける

会議室でノートパソコンの現場平面図を示しながら、カメラ配置の検討結果を説明している日本人の担当者

監視カメラを何台入れれば足りるのかを説明できないとき、何を先に決めればよいか。見たい水準ごとに必要な画素が変わることと、前提を書き出した資料の形をまとめます

「とりあえず4台くらいですかね」と答えたあとに、「その根拠は」と返される。遠隔巡視の導入検討で、いちばん答えにくい質問です。

面積を画角で割れば数字は出ます。ただしその数字は、何を見たいのかを決めないまま出したものです。同じ現場でも、人が居るかどうかを見たいのか、手元の作業内容まで見たいのかで、必要な台数は変わります。

台数を決める前に決めることがあります。

何が見えれば足りるのか

SiteVision Plannerは、見たい水準を5段階に分けています。

水準見えること対象の短辺に必要な画素必要な可視率
L1存在が分かる20px50%
L2人か物かを区別できる40px70%
L3挙動を確認できる80px80%
L4服装や装備を判別できる160px90%
L5細部や表示を判読できる240px95%

L1とL5では、必要な画素が12倍違います。この差がそのまま、1台のカメラがカバーできる範囲の差になります。

区画の入口に人が入ったことを知りたいだけならL1で足ります。作業手順の確認まで求めるならL3、計器の数値を読むならL5です。同じ現場でも、目的が1段変わると必要な台数は数倍動きます

この水準が共有されていないと、台数の話は噛み合いません。発注側はL5を思い浮かべ、見積もる側はL2で計算している、という食い違いが起きます。

見たい水準を5段階に分け、対象の短辺に必要な画素数と可視率を並べた図。存在が分かるL1は20画素と可視率50パーセント、細部や表示を判読するL5は240画素と可視率95パーセント
必要な画素はL1とL5で12倍ちがう。台数の差はここから生まれる

1台がどこまで届くか

見たい水準が決まっても、それだけでは台数になりません。次に必要なのは、その水準を満たせる距離です。

判定に使うのは、対象の短辺の画素そのものではなく、1メートルが何画素で映るかという値です。単位はpx/mで、既定値は100px/mに置かれています。この値も実機での検証前の仮設定値です。

用途に応じた倍率も用意されています。状況の大枠を掴む「概況把握」が0.5倍、通常の巡視にあたる「標準」が1倍、細部まで読む「詳細確認」が2倍です。既定の100px/mなら、それぞれ50px/m、100px/m、200px/mになります。

px/mはカメラから遠いほど小さくなり、距離が2倍になれば半分です。裏を返すと、要求するpx/mを決めた時点で、それを満たせる最大の距離がひとつ決まります。1台のカメラがカバーするのは、その距離までの範囲です

台数が面積の割り算で決まらないのは、この距離が水準と機種で動くためです。要求を200px/mに上げれば、同じカメラで届く距離は半分になります。

死角は可視率で扱う

表の右端の列は、対象がどれだけ見えていれば判定を通すかの割合です。

構造物や資材で一部が隠れても、L1なら半分見えていれば存在は分かります。L5では95パーセントが要求されます。細部を読む用途では、少し隠れただけで用を成さないためです。

死角の議論が「見える、見えない」の二択になりがちなのは、この割合の観点が抜けているからです。柱の陰に3割入る位置でも、存在確認の用途なら成立します。同じ位置がL4では成立しません。

ゾーンごとに要求を分ける

現場全体を同じ水準で覆おうとすると台数が膨らみます。実際には、場所ごとに求めるものが違います。

SiteVision Plannerでは巡視ゾーンに優先度を持たせ、優先度ごとにカバー率の要求を変えています。必須のゾーンは95パーセント、重点が80パーセント、通常が60パーセント、低が30パーセントです。

ゾーンカバレッジの判定表のスクリーンショット。作業帯と重機旋回範囲は重点で要求80パーセント、歩行者通路と資材置場は通常で60パーセント、規制区間全体の見通しは低で30パーセントとなっており、それぞれの実測カバー率と適合の判定が並んでいる
道路改良工事のサンプル。ゾーンごとに要求が違うので、72パーセントでも適合になる行がある

危険区域の入口は必須、資材置場は通常、通路は低。このように分けると、台数は必要な場所に寄ります。全域を均一に覆う案と比べたときの差が、そのまま説明の材料になります。

案内役の男性が会議室でタブレットを持って立っているバナー。「その台数の根拠を説明できますか」「見たい水準で必要な画素が12倍変わる」というコピーが入っている

説明に使える形にする

稟議で問われているのは、正確な台数ではなく、その台数を出した根拠のほうです。

どのゾーンに何を求めたか。その水準で必要な画素と可視率はいくつか。選んだ機種と焦点距離で、その画素を満たせる距離はどこまでか。結果として、どのゾーンが要求カバー率を満たし、どこが残ったか。根拠として書けるのは、この4つです。

この4つが並んでいれば、台数が1台増減する議論も具体的になります。「もう1台減らせないか」に対して、どのゾーンの水準を1段下げることになるかを示せます。

既定の100px/mは仮設定値ですが、実機で確かめた値に置き換えて記録できます。記録すると表示が仮設定値から根拠のある値に変わり、レポートの評価条件にも実施日や実施者、方法が載ります。前提が仮のままなのか確かめたものなのかを、資料の上で区別できます。

合意の材料になるのは、数字そのものより、書き出した前提のほうです。

根拠を先に書く

次に台数を聞かれたら、答える前にゾーンと水準を先に置いてみてください。「入口はL2で95パーセント、通路はL1で30パーセント」と言えれば、台数はその後ろについてきます。

カメラをどこに向けるか、高さをどう取るかは、「遠隔巡視のカメラ配置」にまとめてあります。水準が決まったあとの置き方は、そちらが手順になります。

よくある質問

カメラの台数はどう決めればよいですか
面積を画角で割る計算では決まりません。同じ場所でも、人が居ることを確認したいのか、手元の作業内容まで見たいのかで必要な画素が変わるためです。見たい水準を先に決めると、1台がカバーできる範囲が決まり、そこから台数が出ます。
見たい水準はどう分けますか
SiteVision Plannerでは5段階に分けています。存在が分かる、人か物かを区別できる、挙動を確認できる、服装や装備を判別できる、細部や表示を判読できる、の順です。対象の短辺に必要な画素数は20pxから240pxまで、12倍の開きがあります。
死角はどう扱いますか
構造物で遮られる部分は可視率として評価します。水準が上がるほど要求される可視率も上がり、存在確認なら半分見えていればよい判定でも、細部の判読では95パーセントが求められます。
出てきた数字はそのまま提案に使えますか
使えません。判定に使っている必要画素数や可視率は、実機での検証前の仮設定値です。対象の明るさやレンズ、映像の圧縮率でも変わります。前提として明記したうえで、検討の出発点として扱ってください。

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