複線図道場
公開中第二種電気工事士の技能試験に向けて、単線図から複線図を組み立てる練習と意味的な採点・診断を提供する学習アプリ
公開日

対象ユーザー
- 第二種電気工事士の技能試験を独学で目指す人
- 学習アプリの採点設計に関心がある開発者
複線図道場は、第二種電気工事士の技能試験に向けて、単線図から複線図を組み立てる練習と採点を提供する学習アプリです。コンセプトは「正解を見るアプリではなく、間違いの理由がわかる複線図トレーナー」。ブラウザで公開しており、インストールなしで練習を始められます。
解決する課題
技能試験の練習では、器具と配線を1本の線で表した単線図を、実際の電線の本数と色まで書き起こした複線図に直し、紙に書いて教材の完成例と見比べるのが定番の進め方です。ところが、この見比べは思うようには機能しません。線の引き回しが完成例と違っても電気的には正しい場合がありますし、逆に、見た目はそっくりでも重大な誤りが紛れている場合があるからです。
複線図の正しさは、見た目ではなく回路の意味で決まります。それなのに独学では、意味の側を採点してくれる相手がいません。どこが違うのか、なぜ違うのか、次に何を直せばよいのかが分からないまま、同じ誤りを繰り返しやすくなります。複線図道場は、この答え合わせの空白を埋めるために設計しています。
主な機能と設計方針
ここに挙げるのは本アプリの設計方針です。公開版に載っている範囲は実装の進行に合わせて更新します。
中心に据えているのは採点エンジンです。見本画像と見た目を比べるのではなく、端子の役割、端子間の接続、線色、施工条件を回路の意味として評価する設計です。電気的に成立し、施工条件も満たす別解は、正解の図を何枚も用意するのではなく制約条件の形で受理する計画で、誤りに対しては「不正解」の一言で終えず、どこが、なぜ違い、次に何を直すかを診断として返すことを目指しています。
学習モードは3つを設計しています。
- 型稽古は、接地側と非接地側の扱いのような、問題を横断して使える回路の型を短時間で反復する練習です
- 実戦は、問題を最後まで自力で結線し、提出後に回路全体を一括採点する形式です。提出までは正誤を表示しません
- 復習は、学習履歴をもとに、誤りパターン単位で問題を再出題するモードです
収録範囲は段階的に広げる計画です。まず代表的な問題で採点と診断の品質を確かめ、そのうえで公表される候補問題の全問に対応する順序を予定しています。配布の形はWebアプリ(PWA)です。インストールなしで使い始められ、iPhoneに限らずAndroidやPCからも練習できる状態を狙っています。学習履歴は端末内に保存する方針で、オフラインでの練習にも対応する予定です。
開発の背景
見た目を比較する採点なら、作る側にとってはずっと簡単です。しかしそれでは、線の位置が違うだけの正しい別解を誤りと判定してしまいますし、「完成例と違うから直す」という、理由の伴わない直し方を促すことになります。紙の教材や動画は正しい完成例を示すことが得意ですが、学習者自身の誤答を採点はしてくれません。どちらの道具立てでも、「なぜ違うのか」という問いには答えられないままです。
そこで採点の単位を、線の座標ではなく回路の意味に置くことにしました。接続を意味として保持していれば、たとえば「接地側をスイッチで開閉している」のように誤りを名指しし、その影響と修正の候補まで示せるはずです。この診断の質で価値を出せないなら企画ごと成り立たない、という前提で設計を進めています。
技術と設計
採点エンジンは、UIから分離した純粋なTypeScriptパッケージとして実装する計画です。利用者の結線を、電気的に同一な接続のまとまり(ネット)へ正規化し、そのうえで回路の構成、端子の意味、電線の属性、施工条件といった層に分けた制約条件を評価する設計にしています。線の座標や作図の順序は、はじめから採点に持ち込まない方針です。
品質の設計目標では、誤った回路を合格扱いしないことを最優先に置いています。基準解と正しい別解のテストに加えて、正答へ典型的な誤りを注入して期待どおりの診断が返るかを確かめる変異テスト、線の引き方や入力の順序を変えても採点結果が変わらないことを確かめるプロパティテストまで、テスト戦略を仕様と併せて設計しています。
現在の状態と既知の課題
採点エンジンの仕様とテスト戦略を文書として設計したうえで実装を進め、現在はブラウザで公開しています。今後も、別解を確実に受理できるか、誤りを具体名で診断できるか、スマートフォンで無理なく操作できるかを確かめながら、収録範囲を広げていきます。
権利面では、公式の候補問題をそのまま流用せず、独自に作り直した図版と出典の明記で扱う方針です。本プロジェクトは試験実施機関とは関係のない非公式の学習支援プロジェクトであり、その旨はアプリ内やサイト上でも明示する予定です。
本アプリの目的は技能試験に向けた学習の支援であり、合格を保証するものではありません。実際の試験では、最新の公式資料と欠陥の判断基準を必ず確認してください。また、実際の設備の施工や活線作業の判断に使うことは、設計上も想定していません。
分野・使用技術
- 分野
- 使用技術
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