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連載

Claude Code 集中講座

14回 / 全16

14/16

ガイド公開日

セッションを並べ、手元を離れたところで走らせる

複数の作業の進行状況が並んだ画面を背に、こちらを向いている男性

Claude Code 集中講座の第14回。並行セッション、背後で走らせる作業、クラウドへ出す作業の3段階を整理します。手元へ引き戻す方法と、並べても速くならない作業の見分け方も扱います

第12回の終わりに書いた結論から始めます。並べても、読む側は1人です。

それでも並べる価値がある場面はあります。待ち時間が長い作業です。テストが5分かかる、調査に10分かかる、そういう作業を1つずつ順番に待つのは、単に無駄です。

この回では、並べ方を3段階に分けて扱います。

並べ方には段階がある

段階どこで動くか向く作業
並行セッション同じパソコン、画面に見える2つの別々の変更を交互に見る
背後のセッション同じパソコン、画面に出さない長いテスト、まとまった調査
クラウドのセッションAnthropic 側の仮想マシンパソコンを閉じても続けたい作業

下へ行くほど手元から離れ、そのぶん手元の状態が使えなくなります。この代償を把握しておくことが、選び方の核心になります。

セッションを並べる3段階を示した図。並行セッション、背後のセッション、クラウドのセッションが左から並び、右へ行くほど手元から離れ、手元の設定や未コミットの変更が使えなくなることが示されている
離れるほど自由になり、離れるほど手元の状態が届かなくなる

作業ツリーが混ざらない理由

まず、同じパソコンで複数のセッションを開く場合です。

第3回で触れたとおり、デスクトップアプリではサイドバーから新しいセッションを増やせます。Windows なら Ctrl+N、セッションの切り替えは Ctrl+Tab です。

混ざらない理由は Git にあります。公式ドキュメントによれば、Git リポジトリの場合、各セッションは Git の作業ツリーを使って自分だけの複製を持ちます。同じリポジトリの別のフォルダで、別のブランチが展開されている状態です。

ターミナル版でも同じことができます。

claude --worktree feature-a

新しい作業ツリーを作り、その中でセッションを始めます。

これが効くのは、片方を捨てるのが簡単になることです。第8回で「やり直せると分かっていると大きめの依頼を出せる」と書きました。作業ツリーごと捨てられるなら、もう少し踏み込んだ試しができます。

背後に回す

画面に出したくない作業は、背後に回せます。

claude --bg "テストを全部走らせて、落ちているものを直して"

短い識別子が表示されます。あとは次のコマンドで扱います。

claude agents        # 背後のセッションを並べる
claude logs <id>     # 直近の出力を見る
claude attach <id>   # このターミナルで開く
claude stop <id>     # 止める(会話は残る)
claude rm <id>       # 消す

attach が便利です。放っておいた作業が気になったら、そのまま開いて会話を続けられます。

セッションの中からは /tasks で進み具合を見られます。

クラウドへ出す

パソコンを閉じても続けたい作業は、クラウドへ出します。

claude --cloud "src/auth/login.ts の認証の不具合を直して"

Anthropic 側の仮想マシンでセッションが立ち、作業が進みます。ブラウザを閉じても続きますし、スマートフォンのアプリから様子を見られます。

ただし、手元の状態は行きません

送る前に、押す

ここが一番の落とし穴です。

公式ドキュメントの説明では、クラウドの仮想マシンが取り出すのは、いまのフォルダの GitHub のリモートで、現在のブランチです。手元の複製ではありません。

手元にコミットがあって押していない場合、クラウドは古い状態から始めます。「さっき直したところが直っていない」という結果になります。

送る前に押してください。これだけで、この種の混乱はなくなります。

なお、Git のリモートがない場合や、Claude の GitHub アプリが入っていないリポジトリの場合は、手元のリポジトリをまとめて送る形になります。その場合、macOS と Linux と WSL では、.env や鍵のファイルのように資格情報らしき名前の未コミットの変更は送信から除かれ、除いたファイルの名前が表示されます。

手元へ引き戻す

クラウドで始めた作業を、手元で続けられます。

claude --teleport          # 一覧から選ぶ
claude --teleport <id>     # 直接指定する

セッションの中からは /teleport でも同じことができます。ブランチを取ってきてチェックアウトし、会話の履歴を手元に読み込みます。

条件が4つあります。作業ディレクトリに未コミットの変更がないこと、同じリポジトリの複製であること(フォークは不可)、クラウド側のブランチが押されていること、同じアカウントでサインインしていることです。

方向には制限があります。ターミナルからは、クラウドから手元へは引けますが、手元からクラウドへは押せません--cloud は新しいセッションを作るコマンドで、いま進めている会話を送る操作ではありません。デスクトップアプリには、手元のセッションを web へ送る項目があります。

プルリクエストを見張らせる

出したあとの作業も、手元を離れて走らせられます。

プルリクエストのブランチにいる状態で /autofix-pr を実行すると、その PR を見張るクラウドのセッションが立ちます。検査が落ちたときやレビューのコメントが付いたときに、Claude が調べて、確かな修正なら押します。

判断が分かれるときは聞いてきます。公式ドキュメントによれば、レビューの指摘が複数の解釈を許すときや、設計上重要な変更にあたるときは、実行の前に確認されます。

並べて効く作業、効かない作業

ここまでの仕組みを踏まえて、結論を書きます。

並べて効くのは、待ち時間が長く、結果が短い作業です。テストの実行、依存の更新、広い範囲の調査、複数の候補の比較。どれも、投げてから戻ってくるまでが長く、戻ってきたときに読む量は少なくて済みます。

並べても効かないのは、結果を読む時間が長い作業です。3つの実装を並行させると、3つの差分を読むことになります。1つずつ読むのと合計は変わらず、しかも文脈の切り替えが3回増えます。

判断の目安は、返ってきたものを読むのに何分かかるかです。1分で済むなら並べられます。20分かかるなら、並べた分だけ後ろに積み上がるだけです。

もうひとつ、忘れられがちな制約があります。公式ドキュメントによれば、クラウドのセッションはアカウントの利用上限を他の使い方と共有します。並行して走らせれば、そのぶん上限を使います。仮想マシンの分の追加料金はありませんが、無料でもありません。

次の回

道具の話はここでほぼ終わりです。第15回では、うまくいかないときの切り分け方を、層に分けて整理します。

参照した公式情報

  • Anthropic「Use Claude Code on the web」「Claude Code desktop app」「CLI reference」「Worktrees」(code.claude.com/docs、2026年9月時点)
  • claude --help の出力は Claude Code 2.1.268 を執筆環境で実行して取得

よくある質問

並行セッションで変更が混ざりませんか
混ざりません。公式ドキュメントによれば、Git リポジトリの場合、各セッションが Git の作業ツリーを使って自分だけの複製を持ちます。コミットするまで、あるセッションの変更は他のセッションに影響しません。
クラウドのセッションは手元のファイルを見ますか
見ません。クラウドの仮想マシンが取り出すのは、いまのフォルダの GitHub のリモートで、現在のブランチです。手元のコミットを押していないと、古い状態で作業が始まります。送る前に押してください。
クラウドで始めた作業を手元で続けられますか
できます。`claude --teleport` でセッションを手元へ引き込みます。作業ディレクトリに未コミットの変更がないこと、同じリポジトリの複製であること、クラウド側のブランチが押されていること、同じアカウントでサインインしていることが条件です。

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